8月3日くらいから微熱が出ていて、未だに下がったり下がらなかったりしている。
基本ずっと頭が痛くて、あと喉の奥と鼻の奥になんかずっと居るな~誰かどさくさで違法に住み着いてんな~みたいな感覚がある。強く言わないだけよ、行政が。そこ違法ですからねって。なんかのタイミングで言うけどね。オリンピック会場に選ばれたときとかにガーッと一掃されるやつ。僕の喉にオリンピック来るかな。何の種目来るの? ボブスレー?
しかしなんかこう、風邪の治りが遅くなったのは、認めたくはないけど年齢的なアレなんですかね。昔は、風邪に確実に勝つ方法を持ってたんですよ。それを説明する前に、あの、風邪についてちょっと立ち止まって考えてほしいんです。風邪って、体に勝手に入ってきて悪さするじゃないですか。わけわかんなくない? 夜中に工事現場忍び込んで銅線盗む半グレ窃盗団のそれじゃないですか。しかも銅線が目的とかならいいけど、いやよくないけど、目的があるだけいいんですよ。風邪って、目的そんなにないでしょ。体を絶対に乗っ取るぞ! 増殖して繁栄するぞ! みたいな夢を彼らから聞いたことがない。そういう話が出たことがない。だらだらだらだらして。おら~頭いてえだろ~ギャハハ~みたいな不良想像してみてくださいよ。その行為全然面白くないからな、って思うわけ。だから風邪に向かって「は? お前それ面白いと思ってやってんの? やめな、面白くないから」とか言い続けると、そのうち風邪側も「つまんね、帰ろうぜ」なんて言って、なんか白けちゃって治る、というのがあって、いや、これは本当にそうなんですよ。やって、本当だから。まあ気持ちで勝つ、みたいなやつの一種なのかもしれない。
でもあの、最近使えないんですよこれ。この歳になるとそういう何だろうか、張り合う気力がなくなるんですよ。まあ、しょうがないよねえ、みたいな。ローンも残ってりゃ~風邪も引きますよねえ~みたいな。半グレ窃盗団も銅線盗みにきますよねえ~みたいな。こっちがそんな感じだったら、半グレ窃盗団なんてやりたい放題やりますわな。風邪もやりたい放題やりますよ。いろんな体内のボタン勝手にピッピピッピ押してギャハハーみたいな。やりたい放題。こういう奴にはガツンと言わないとダメです。放任はネグレクトです。でもなんか最近怒り方忘れちゃってねえ~。まあ、しょうがないよねえ~。銅線も盗まれるよねえ~。なんて言って風邪と一緒に過ごしている。長引いている原因は、この気の持ちようかもしれない。それかあれだ、ちょっと治りかけたかなってときにNetflixで地面師たちをちょいちょい見ているんだけど、あれ見るとどうもぶり返す気がするんだよな。なんだろう。地面師って存在、面白いじゃないですか、地主や資産管理人になりすまして契約をかわしてお金を盗む、法律知識と演技力がすごい詐欺師集団。ちょっと前にリアルに五反田の旅館の事件とかあったし、このドラマも実際の事件をベースにはしているから興味深いんだけど、脚色ももちろんあって、というかめちゃくちゃ脚色がすごくて、えっ、なんで? なんでなんで? みたいな瞬間がちょいちょいあるんですよ、あるよね? そのたびに熱がピュン! って上がっちゃう。風邪長引いてるのは綾野剛の八角眼鏡のせいかもしんない。目の前にずっと八角形があると人生どうなっちゃうの?
それはいいんだけど、あれよ。こうなってくると、あれよ。風邪に対して「お前面白くないんだよ!」とか言う気力を無くしたおじさんにもできる、自分なりの風邪の治し方を新たに確立する必要がある。で、もうこれ、すでに有力な候補がありまして、汗をかく。具体的には熱い風呂に入って、そのあとめっちゃ厚着して寝る、みたいなやつ。タモさんも同じこと言ってた気がするけど同時だから。ベルとグレイが同時に電話を発明して特許申請したみたいなやつと一緒だから。ここ数年はこれを使っていて、これでもうだいたいは良くなる。汗をかくのは良い。まあ、そんなのみんな知ってるか。岩盤浴とか、ホットヨガとか、人類としては汗の効果は既知。エジプトの石版にも刻まれている。汗の象形文字がある。知らんけどきっとある。ナイル川超暴れてる(滝汗)みたいな使われ方をしている。
ただ子供達が夏休みに入っているから、狭い家の中がどこも冷房でキンキンなんですよ。家で汗をかけない。いろいろワーワー言ってきましたけど、結局汗をかけないせいで風邪が長引いているのではと今さら気づいた。
そもそも、ハイジが都会に合わないのと全く同じレベルで、僕はクーラーが合わない。それで最近ほら、外が暑すぎるせいでどこも逆にキンキンじゃないですか。死ぬので冷房つけましょうみたいな風潮でしょう。ほんと住みづらい。アルプス帰ろうかな。アルプスはいいんだけど、電車の中とかもキンキンになっていて、というか本当にキンキンが過ぎない? 車掌がスイカ冷やしてんの? あの電車の空調、あーこれちょうどいいわーって人ほんとに居る? お前らの嫌いな駆け込み乗車客くらいだと思うけどな? うわ~走ったら間に合った~からの涼し~みたいな。敵に利する涼しさじゃん。あいつらの駆け込む車両なんか蒸し風呂レベルにしとけばいいんですよ。ほんでモンモンつけたお兄さんに「風呂はよぉ……運動場じゃねえんだよぉ……おぉ?」とか言われたらもう二度と駆け込みしないっすよ。そうだよ、運動場じゃねえんだよ。風呂でもないけどな。
何の話だっけ、それはいいんだけど、そう、風邪が長引いてる原因は汗かけないからかもと思ったので、さっき具合悪いくせにマンションの共用廊下の外階段まで出てみたんです。そこで36度のなか決死の日向ぼっこを15分くらいやってみた。まあ案の定、汗ぶわーってかいて、そしたら本当に調子良くなって、部屋に戻って体温計ったら平熱に戻っている。まあこれは気化熱ってやつで生理現象というより物理現象な気がするんだけど、体調が良くなっているのは実感としてある。 めっちゃ動ける。てきぱきとお皿洗いしちゃった。床のコロコロもしちゃった。この手があった。
ときに僕は農園を契約していて野菜を作っているんだけど、体調が悪いせいで10日間行っていなかった。そこまで放置したことがないのでどうなってるか本当に怖い。たまごっちだったらとっくに死んでる。野菜っちはどうだろう。野菜っちは、野生っちになってる気がする。片付けるのに時間かかりそうだな、なんて思ったんだけど、いや、時間かかっていいわ、って。今は太陽に当たりたいのだから。そうだ、逆に畑行こう、と思った。炎天下の農作業で確実に風邪を仕留める。最新の怪しい治療法、灼熱農業療法。保険適用外。それで水をがぶ飲みしたあと長袖と長ズボンで畑へ向かったわけ。
畑は家から歩いて10分くらいで着く。8月、午後3時の日光。この時点でもう汗が滝ですごく気分が良い。作物は案の定野生を爆発させており、スイカやトマトはかなり腐って割れたり落ちたりしてたんだけど「やりがいが、ある!」って思ったよね。そういう療法だから。
それでちょっと作業したらスコール来た? ってくらいビショビショになって十分調子良くなってきたので、切りの良いところで帰ろうかと思ったんだけど、それとは別に、炎天下にしばらく居るとなんか変な脳の物質出ません? 出ます。神経が研ぎ澄まされる系の。僕はサウナをしないのでカンで言うけど、みんなあれを「整う」って言ってる、よね? だとしたらめっちゃ分かる。サウナ行ってないけどめっちゃ分かるよ。整うって言葉がなくても、僕はそのうちこの現象を表すために整うって言葉に到達したと思う。
それで畑で不意に整ってしまった。処理速度が上がって、世界がスローになる。飛びかけた帽子を片手でキャッチする。腐ったミニトマトを美容師のハサミの速度で落としていく。ナスにたかっている全てのカメムシをデコピンで飛ばしていく。カマキリを3匹捕まえる。あのー、AIのレベルは既に人間を超えた~シンギュラリティーは来た~なんて言う人も居ますけど今また僕がギュン! て抜き返しましたんで大丈夫ッス。人類の未来、僕に任せるッス。カメムシ全部同時に視えてるッス。ピンピンピンピン! しかもなんかその脳内物質のせいで完璧にしないと終われないみたいな変なスイッチ入っちゃって、虫の隠れ家になってそうな葉っぱをガンガン落として草むしってついでに農具も洗っちゃってマッシーンのようにタスクをこなすんだけど、脳の片隅にほんの少しだけ残った人間としての僕はもう気温でフラフラで、テキパキと動く体に反して助けて! 助けて! ってずっと声に出して言っていてすごく怖かった。それで貧血っぽくなって視界がぼやけて畑の前の道でちょっと寝ていたところを近所のおじいさんに声かけられた。いまほら、熱中症で死みたいのすごく報道されているからみんな道で寝ている人に優しい。わたしはこれで風邪が治りましたが全然推奨しません。